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※この作品は性描写があります。18歳未満の方はお戻り下さい。
18歳以上の方は自己責任でご閲覧下さい。



4.
 

熱い風呂を沸かし、高杉を入れてやる。落ち着きを取り戻した高杉は泣き疲れた子供のように、しかし瞳だけは桂を捉えて離さぬまま、大人しくされる通りになっていた。
着物を着せ、畳の上で髪を拭いてやる。ほらこれでいい、と両肩をぽんと叩くと、高杉はおもむろに桂を抱き寄せた。
「ん...何だ?」
さして驚いた様子もなく優しく尋ねる桂の表情を、憧憬にも似た眼差しでじっと見つめる。
温かい水のような、穏やかさと深さを湛えた瞳の中に、高杉の姿が映る。
恋焦がれるその瞳に手を伸ばし、ぎこちなく触れ、頬を掌で包み込む。
「どうした...?」
桂の唇が動く。その艶やかさに引き寄せられるように、高杉は自分の唇を重ねた。
「んっ...」
後頭部に手を回し、舌を挿し入れ、ねっとりと絡める。
今までのキスのどれとも違う、ひどく性的なその愛撫に、桂の身体がぞくりと反応する。
無意識に捩った身体は、しかし背に回された高杉の腕から逃れられない。
「離れ、ンな」
聞き取れるかどうかというくらいの声で、高杉が囁く。
怯んだ身体を繋ぎとめるよう、さらに口付けを深くする。

どうか、どうか、はなれないで。いとしい、ひと。

「ぅん、んっ...」
ぞわぞわと立ち昇ってくる濃厚な感覚に、桂の身体から力が抜けていく。そのまま押し倒され、艶やかな黒髪が畳に波を描いた。
「ふ...ぅ、んぅ」
なおも続く口内への性的な侵入。唇から与えられる熱が身体の奥にまで届くようで、桂の瞳に涙が浮かぶ。
だめだ、だめだ、こころが叫ぶ。この男に二度と抱かれることはないと思っていたのに。
「っは...、」
口内を十分に犯しつくし、ようやく高杉が唇を離す。上気した桂の頬に愛おしそうに触れ、耳元に唇を寄せ、

「きっとずっと、おまえが、欲しかった」

桂を求める、真摯な声。
ズキン、ズキン、
切ない痛みに、こころがこの上なく疼く。

「俺を、拒まないで」

白い首筋に舌が押しあてられる。
熱い、熱い、その感覚。

「あ...」
「俺で、感じて」
桂の帯を解き、着物の前を開ける。露わになった身体には、先刻つけられた赤い跡が生々しく散っていた。
白い胸に顔を埋め、赤い跡を付けたのと同じ唇が、ひどく幼い表情で、懇願するように呟く。

「裸のおまえを、抱きたいんだ」

ああ、もう、だめだ。
身体の奥に封じ込め、二度と呼び起こすまいと押さえ付けていたあの熱が、一気に身体を侵食していく。
決裂したはずの男が、今再び、自分をこんなにも求めている。

拒むことができたなら、どんなにか楽だろう。
 
そんな思考を置き去りにして、
「ぁん」
つと舐め上げられた胸元の性感帯に喉が震えた。

 

5.


からだが、こころが、とろとろに、とかされていく。


「ぁっ...、あっ」
「すきだ、」
拙く無垢なその告白が、桂の心を震わせる。
「んん、ぁ」
ちゅく、ちゅく、ちゅ、ちゅ、
白い首筋から胸元を、食むような仕草で何度も吸い付き舐め回す。くちびるをやわらかく這わせ、こぼれる唾液でぬるぬると、肌に生々しい感触を沁み込ませていく。
「あ...んっ、んゃ」
吸って、舐めて、くちびるで噛んで。二つの魂を隔てる肌を、舐め溶かそうとするような愛撫。
ひどく原始的でひどく性的なその行為を、まるで待ち焦がれていたかのように、桂の身体は蕩かされていく。
「ん、ぁ...ぃあっ、あ」
「すきだ、すきだ...」
快感に身を捩らせる桂をいとおしむように押し抱き、高杉は訴えるように何度も囁く。
幼く拙いその言葉と、身体の上に圧し掛かる男の力の強さとのギャップ。仔供の無垢さと男の性的欲求が、等しい熱さで桂の身体を侵していく。
「は...ぁっ、んっ、ぅ」
ぴちゃぴちゃと音を立て、性感帯を探り当てては尖らせた舌先で舐め、一際反応の大きいところを重点的に責めてくる。
ときおり身体から口を離し、熱に浮かされた桂の瞳をいとおしむように見つめ、また肌に吸い付く。
拒むことなど、できはしない。
「ゃ...はんっ、あ、ぁあ...っ」
「きもち、いい?」
全身を浸す、どうしようもない快感。どうしようもない、いとしさ。どうしようもない、せつなさ。
「ん、ぃあ...ぁ」
与えられる感覚に身も心も縛られて、桂はただ喘ぎ身悶えることしかできない。
「感じてるところ、もっと見たい...」
くちびるでの愛撫はそのままに、高杉の手が下肢へ伸び、敏感な箇所に触れる。
「あっ、んやっ」
「もっと、感じて」
高杉の胡坐の上に、横向きに抱き上げられる。片手で上体を支えられ、もう片方の手で快楽の先端を撫で回されて、桂は思わず高杉の首にしがみついた。
「や、ゃっ、あっ!」
「俺が、いや?」
指の動きはそのままに、じっと瞳を覗きこむ。
違う、そうじゃない、うわごとのようにくちびるが動き、黒髪が左右に揺れる。
「感じるから?」
反応をすべて見逃すまいと、高杉は愛撫を加えながらもその表情をじっと見つめている。
「は、あ、ぁっ」
くるしい、くるしい、くるおしい、感覚。おしよせる感情の波に、桂の頬を涙が伝う。
その涙を舐め取って、先走りを絡めた指が後ろへと辿る。
「んぅう...っ!」
「きれい、」
痛みに表情を歪めた桂にくちづけて、その舌を深く貪る。
くちづけをしたまま、くぷりと指を侵入され、かき回されて、そのくるおしい行為に桂は頭がおかしくなりそうだと思う。
そして畳に横たえられ、脚を大きく開かされ、
「きれい...」
内腿にしっとりとしたくちびるがあてがわれる。
「ぁ、ンっ、」
ちゅう、ちゅう、
やわらかい内腿に吸い付き、所有の印を散らす。芯に近いところへの愛撫に、つま先が宙を掻く。
「ぃあっ、ぁんっ」

今は敵となった男にあられもない姿勢を曝け出し、そのされるがままになっている己。
しかし拒むことなど、もともと不可能だったのだ。
桂はゆっくりと、慈しむように高杉の背を撫でた。

そして熱いものがあてがわれ、
「すきだ...!」
質量が一気に体内に潜りこんできた。
「あぁっ...!あっ、ぁ、んゃっ!」
侵す熱さに耐えられず、無意識に逃げようとする白い身体。高杉はそれをぐいと抱き寄せる。
「ひァッ...んや、ア」
「俺から、離れないで」
2人の間に少しの距離ができることも許さないとばかりに身体を密着させ、高杉はこれ以上ないほどに強く深く挿入する。
「ぁん、う、あぁっ」
強張る身体に強く抱きつき、すでに全てを桂の中に収めているにもかかわらず、己を強く押し付けるようにさらに身体を密着させる。
「俺から、離れないで...!」
再度紡がれるその言葉が切実に響き、桂の心を締め付けた。
「だいじょうぶ、だ、」
切れ切れの声でそう言って、高杉の後頭部を撫でてやる。
「俺は、ここに、いる、」
だから、もう、泣かないで。
「うん...」
高杉は仔供のように頷いて、桂の肩口にぎゅっと顔を押し付けてから身体を僅かに引き、
「もっと、俺を、感じて」
二人の境界線がなくなるまで、とろとろに交わりあった。

 


6.


「おいヅラ、聞いてんの?」
「え...?あ、あぁ」
肩をぐいと掴まれ、桂はようやく顔を上げた。両手に包んだ湯呑みは、すっかり冷えてしまっている。
隣に座った銀髪が、肩を掴んだまま怪訝な顔でこちらを見ていた。
いつもの会合の帰り道。銀時曰く『幽霊みたいな顔でボケーッと』歩いていたところを茶屋の軒下に引き止められ、こうして並んで座っている。
だが桂は心ここにあらずといった様子で、何を言っても上の空。銀時は大きくため息をつき、もの想いに沈む隣の幼馴染を見やった。
「...オイオイ、しっかりしろよ。もう夏バテですかコノヤロー?」
桂の両頬を掌でぽんぽんと叩き、顔をじっと覗きこむ。
「...え?」
言われた意味が分からずに見つめ返す桂の、それでもその瞳は何か別のものを映しているように思える。
いつもは凛とまっすぐな光を宿すその眼がぼんやりと鈍っているのを見て、銀時は少し眉を曇らせた。
「おまえ、ちゃんと食ってるか?」
「ああ...」
「ちゃんと寝てるか?」
「ああ...」
「俺の話聞いてるか?」
「ああ...」
「オメー実はヅラだろ?」
「ああ...」
「エリザベスの正体はオッサンだろ?」
「ああ...」
「おまえ人の話聞いてねーだろ?」
「ああ...」
「ってふざけんなアァァァ!!!」
桂の胸ぐらをグイと掴み上げる。思わず声を荒げても、桂の瞳はもの想いに沈んだままだ。
銀時は諦めたように息を吐き、手をそっと離した。
「おまえ、ほんとに、どうした」
桂の両肩に手を置き、正面から顔を見据える。
「何をそんなに、考えてンだ」
大事なことほど一人で抱え込もうとするこの幼馴染。
「俺にも、話せないか?」
いつにない真剣な眼で、桂の瞳を覗きこむ。桂はやや身じろいで視線をずらし、ごまかすように微笑んだ。
「何だ...深刻な顔をして。貴様らしくないな」
「バカヤロー、それはこっちの台詞だろうが」
ぎゅっと桂の鼻をつまむ。
普段、銀時がここまで突っ込んで聞くことはない。真剣に心配されていることが伝わったのか、桂はふいに口を開いた。
「わかっているんだ...」 
唐突な、独白。だがそれに動じることなく、銀時は桂を静かに見つめた。
「わかって、いるんだ...」

 
 あれが、まぎれもなく、『鬼兵隊の総督』高杉晋助であることは。
 おそらく遠くないうちに、また離れねばならないことは。
 本当はもう、一緒にはいられないことは。

 
銀時はゆっくりと次の言葉を待つ。今はそれしか、してやれることはないだろうから。
「...俺は、無力だ」
桂らしくもない弱気な発言。銀時は否定も肯定もせず、ただ静かに桂を見つめ続ける。
「...救いたかった」
 

 あの無垢な仔供を、憎しみの炎から、救いたかった。

 全てを燃やし尽くされる前に。


「もう、傷つくところを、見たくなかった...」
小さく呟き、他の言葉を飲み込むように、そっと眼を閉じる。その様子に銀時は軽くため息をつき、桂の頬をくいとひっぱった。
「う、いひゃい」
「俺にはおまえが、傷ついているように見えるがね...」
独り言のように呟いてから、桂の瞳をじっと見据える。
「いいか。別に何でもいいけどよ、泣きたくなったら、万事屋に来い」
言い切った後、不器用に目を逸らしたその様が何だか妙に可笑しくて、桂はふふと笑みを漏らした。
「ありがとう、銀時」
透き通るような、その笑顔。しかしどこか悲愴な影がちらついて、銀時は眉をしかめる。
そんな銀時の心中を知ってか知らずか、桂はおもむろに立ち上がった。
「オイ...?」
怪訝な顔で見上げる銀時に、
「俺は、大丈夫だ」
もう一度そっと微笑み、
「では、な。もう行かねばならん」
往来の人混みにあっと言う間に溶けていく。
「だったらもっと大丈夫そうな顔しろっつーの...」
残された銀時は団子を頬張りながら、桂の去った方をずっと見送っていた。

 



 

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