※この作品は性描写があります。18歳未満の方はお戻り下さい。
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その日闇市に起こった変事を、別室のモニターで見ていた男が一人。
「...面白い」
その瞳はサングラスに阻まれて読めず、声もまた無表情。
『灯りだ!非常灯を早く!』
『探せ!そう遠くへは行ってないはずだ!』
壁のスピーカーからは会場の混乱ぶりが絶え間なく響く。
男は動じる様子もなく、淡々とその暗転したモニターを眺めている。
『河上殿、河上殿聞こえているか!桂が逃げた』
ふいに己の名を呼ばれ、男は懐から無線機を取り出した。
「聞こえている」
どこか冷淡な響きを持つ声。サングラスにモニターの光が反射しており、その表情は窺い知れない。
「心配いり申さぬ...遠くへは逃げられまい」
『しかし!』
「連れ戻せばいいだけのこと...。もっとも、桂が自分で戻ってくるやも知れぬがな」
その語尾には冷たい愉悦が含まれている。
『河上殿、』
「わかっている。仕事であろう」
拳銃の具合をそっと確かめ、河上と呼ばれた男は椅子から立ち上がった。
「さて...」
無線機を懐にしまってから呟く。
「逃げた飼い猫には、仕置きが、必要であろうな」
3.
「さあ...どうする?」
金時は冷たい色香を含んだ視線で桂を見下ろす。
「このままだと、俺に、犯されちゃうよ」
桂の耳元に口唇を寄せ、優しく甘ったるい声で囁く。
「言っとくけど、痛いよ?俺、手加減できないからさ...」
しかし桂は怖じることなく、強い視線を金時に向ける。
「痛みなど、恐れるに足らぬ。貴様などに教えることは何もない」
組み伏せられた状態でも、桂の瞳は少しも光を失わない。気高く美しいその様はむしろ金時を昂らせる。
「やっぱ、イイね、アンタ」
桂の手をとり、その甲に口付ける。振りほどこうとするが、媚薬の残る身体では金時の力に敵うはずもなかった。
「見てみたいね。泣いて許しを乞うとこ、なんてさ」
そのまま手首をぐいと引き上げられ、両の手が頭上に拘束される形になる。
「さあ...答えろよ」
桂の手首を押さえる手に力を込めて、金時の声色が僅かに変わった。
「アンタ、何者だ?なぜ、あんなところにいた」
「貴様、なぜ俺にこだわる?俺はただの“商品”に過ぎん」
桂は眉ひとつ動かさず、凛とした声で質問を返す。
「ウソだね」
「なぜそう思う?」
「一つ、アンタは商品目録に載っていなかった。つまりは予定外の出品ってことだ。あの闇市において、通常ならばそんなことはありえない」
白い手首を握る手に、さらに力を込める。
「二つ、アンタは俺を知っている。確かに俺はその筋では有名だがね、あくまでその筋ではってことだ。ただの“商品”にまで知られててたまるか」
桂は表情を崩さず、無言で金時の言葉を聞いている。
「三つ。アンタの着せられてた襦袢、あれには発信器がついていた。身売りの後、また連れ戻される予定だったんだろう。だがそれもおかしな話だ」
ぐいと桂の顎を掴む。
「つまりだ。アンタは闇市の組織と何らかの深い関わりがある。それも、かなりの上層部と」
一気に言い切って、桂の反応を探る。だが深い瞳は少しも揺らぐことなく、金時を真っ直ぐに見つめ返す。
交錯する、互いの思惑。
「答えろよ。アンタ、何者だ。組織の人間か、それとも組織に敵対する立場か」
「...仮にそうだとして、何を求める」
質問には答えず、今度は桂が問いを発する。
「便利屋がなぜ俺を助けた。組織の情報を得られるとでも思ったか」
高圧的で、蔑むような口調。それが組み敷かれているものの言い草かと、金時はこの局面でも思わず苦笑しそうになる。
「わかってるんなら、話は早い...。職業柄、情報を手に入れるチャンスは逃さないのがモットーでね」
「さすがは便利屋、と言うところか...。だが助け損だ、俺は貴様に何も話さない。残念だったな」
「...そんなこと、言っていいの?」
冷たい声で囁き、状況を知らしめるように、手首を拘束する指にギリギリと力を加える。
「じゃあ、やっぱり...」
金時の紅い瞳が揺らめいた。
「カラダに、聞いてみよっかな?」
片手で桂の両手首を拘束したまま、ベッド脇の小さな引き出しを開け、ピンク色のボトルを取り出す。
「こんなことするけど、いい」
ボトルを桂に見せ付けるようにして笑み、片手で器用に蓋を開ける。
浅く傾け、とろみを帯びた液体を桂の腹部にゆっくりとこぼす。
ブチュッ、とぷ、とぷ、
毒々しい色をした液体が卑猥な音を立てながら、白い身体にゆっくりと筋を描いた。
「...ッぅ」
その冷たい感触に、身体がぞわりと反応する。
「...どうしたの?」
桂の身体が小さく震えているのを見て、金時が意地悪く囁く。桂は隠すように顔を背けた。
「ごめんね、俺、イジメっ子だから」
液体の落ちる位置をゆっくりとずらし、胸元の突起の上にトロリとこぼす。
「んぁッ...」
とろみを帯びた液体に性感帯を刺激され、桂の身体がぞくりと震えた。
「始めちゃったら、止まんないよ」
トロトロと液体を滴らせながら、ボトルをゆっくりと下腹部に移動させる。
「ぅ、くっ...ンンッ」
液体に与えられる卑猥な感覚から、桂は身を捩って逃れようとする。その様子を金時は満足そうに眺めた。
「感じてるの?」
可愛いね、と呟いて、金時は自分も上着を脱ぐ。
「さっきも言ったけど」
冷たく甘い、魅惑的な声で、悪魔の囁きを落とす。
「手加減は、しないからね」
4.
ぶちゅ、とボトルから粘度の高い液体を手に取り、桂の身体を撫でるように塗り付ける。
「はんッ...」
媚薬の残る身体では抵抗も適わず、むしろ従順に反応を示す。思わず漏れた声の浅ましさに、桂は手の甲を口に当て顔を背けた。
「火ィ、ついちゃった?」
甘やかすような視線で囁いて、金時の掌が白い身体をゆっくりと蹂躙する。
ぞわぞわと立ち昇る淫らな熱に、桂の身体の震えが止まらなくなっていく。
「ひ、くっ...や、ぁンッ」
「ん...イイ声」
びちゃ、ぶちゅ、ぬちゅ、
身体のあちこちをねっとりと撫で回しながら、金時は潤み始めた漆黒の瞳を覗き込む。
「は、っん...ふ、ぅ」
「さっきまで反抗してたくせにね...、恥ずかしいカラダ」
懸命に声を抑えようとしながらも淫らな息を漏らす、桂のその表情を満足げに見つめ、意地悪く囁く。
「男娼ってのは、とりあえずホントかな?」
確認するように呟いて、滑る指を胸の突起にそっと触れさせる。
「あっン...!」
先端にごく軽く触れられただけで、一際甘い声を上げる桂。
そこに与えられる快楽を知っている身体は、ただ触れられただけでは物足りず、刺激を求めてビクリと揺れる。
「こんなに、敏感にされちゃって...」
金時はサディスティックな笑みを浮かべながら、突起に触れた指をじわりと動かし、円を描くようにゆっくりと撫でてやる。
「あっ、ぁん...!」
微かな指の動きにも敏感に反応して身悶える桂の耳元に、そっと口唇を近づけて囁く。
「誰に、調教、されたのかな」
「ッ...!」
その言葉を断つようにぎゅっと眼を閉じた桂。だが金時は容赦なく、ぬちぬちと音を立てて硬度を帯びた突起を撫で回す。性感帯への強引な愛撫に、桂の喉が大きく震えた。
「ひ、ぁああっ、や、めっ...!」
「ね、教えて?」
震える喉元に熱く息を吹きかけ、わざと音を立てながら耳朶を食む。
「もっと気持ちよく、してあげるから」
甘ったるく優しい声で、悪魔のような誘惑を囁きかける。
「貴、様...に、話す、ことなど...っ」
熱く潤んだ瞳で、それでもなお頑なな態度を通す桂に、金時はすいと目を細めた。
「強がりは、可愛くないよ?」
冷たく甘い言葉を落とし、桂の身体をうつ伏せにして四つん這いにさせる。
充分に慣らされた姿勢なのだろう、自ら無意識に膝を付いたその淫らさを愉しそうに見つめ、金時は粘液を絡めた指をそっと後孔に触れさせた。
「っひぅ...!」
予想通り従順な反応を返す桂の身体。しかし金時は指を後孔からぬるりとずらし、今度は芯の根元に触れる。
「はんっ...!」
快感の付け根に触れられて、桂の身体がビクンと跳ねる。だが金時はその指を再び後ろに滑らせた。
「ね、言ってごらん」
優しく諭すような声で囁きかけ、芯と後孔との間を、前に後ろに、とろとろと指を滑らせる。
「んぅ、あ...っ、はっ、ぁう」
ぬるり、
芯の付け根に触れたかと思うと、指はまた後ろに滑る。快楽を隅々まで教え込まれた身体にとって、それはまさに拷問。
欲しいところのどちらにも届かない指に、膝を付いた白い脚がガクガクと震え出す。
「やっア、はっ、んくっ...」
口唇を震わせて身悶えるその姿はあまりにも淫らだ。欲しい、という言葉を決して口にはしないものの、身体が限りなくそう訴えている。
「可哀想に...触って欲しいの、それとも挿れて欲しいの」
苦しげに喘ぐ顔を、この上なくいとおしそうに覗き込む。金時の視線から逃れるようにシーツに顔を埋める桂の、しかし身体はもの欲しげな震えを止められない。
金時は慈しむような声で、さらに卑猥な問いを投げかける。
「誰に、こんなエッチな身体にされたの」
つぷ、
「ひぁあんっ...!」
返答を待たず後孔に挿入された指に、桂の身体が一際大きく跳ねた。
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