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すきだ、すきだ、すきだ。
巡り逢ったそのときから、小太郎は、俺の世界のすべて。
ずっとずっと大好きで、俺の全部で、あいしてる。

なのに。
こんなにもあいしているのに、どうしようもなく、壊してしまいたくなるのは、な、ぜ。

それはもう、あまりにどうしようも、なく。


夕食後、しゃかしゃかと皿を洗う小太郎の後ろ姿。エプロン越しに見るその薄い肩、細い腰。俺は宿題もせずに、その身体をただただ眺め続ける。
「...どうかしたのか、晋助?」
俺の視線に気づいたのか、小太郎がふと振り返った。
その髪の隙間から覗く耳、喉、首筋。白くなめらかなその肌。
手を伸ばしたい。吸い付きたい。脱がせて触って組み伏せて、めちゃくちゃにしてしまいたい。
「...晋助?」
見つめたまま黙りこくってしまった俺に、小太郎はするすると近寄ってくる。
「体調が悪いんじゃないか?顔色がよくない」
心配そうに言って手を頬に伸ばす。瞬間ふわりといいにおいがし、俺の胸がズキンと疼く。
「...さっ、触るな!」
思わずその手を払いのけると、予想以上に強く当たり、パチンと痛い音がした。
「晋助...?」
一瞬ひどく驚いた、小太郎の顔。ああ、俺って最低。
でも同時に別の思いが湧く。このまま押し倒したりなんかしたら、もっともっと驚くだろうか。
「...ごめ、ん...」
俺は黒い感情を搾り出すように、やっとのことで声を出した。
「晋助。何か、あったのか」
今度は真剣に心配した瞳で、俺の顔を覗こうとする。俺の視線は自然とそのくちびるへ。やめろ、それ以上近づくな。
「...うるせェ、」
目を合わせないようにして立ち上がり、俺は自分の部屋へ向かう。後ろでは小太郎の、俺を呼ぶ声。
お願いだ、そんな澄んだ声で呼ばないで。
俺はもっと別の音色を、聞きたくなってしまうから。


もやもやした頭のまま、俺はベッドに倒れ込む。
目の前にあるのは、親子という名の残酷な現実。
小太郎にとって俺はあくまでも“子供”で、たとえどんなに成長しても、その事実は変わらない。
いっそほんとの親子なら、諦めることもできたのに。
じぶんが深く愛されているのはしっているけど、
でも。だから。
苦しい。苦しい。
衝動がこみあげて、もやもやした気持ちが渦を巻く。
下っ腹までもやもやしてきて、無意識のうちに想像するのは、小太郎のいやらしい姿。
白くしなやかなあの身体を、裸にして、滅茶苦茶に舐めて、エロい声をあげさせて、ぽってりとしたくちびるに吸い付いて、舌を挿れてかき回して、長い髪に指を絡めて、身体中を撫で回して、その滑らかな肌に身体を密着させて、
見たい。聞きたい。犯したい。
真面目な顔を火照らせて、どろどろに蕩かしてしまいたい。
渦巻く性欲、昂るカラダ。
はあはあ喘ぐ小太郎の声は、どんなにやらしいことだろう。
くねくねうねる小太郎の裸は、どんなにえろいことだろう。
叶わぬ夢を想像しては、独り虚しい行為に耽る。すきだ、すきだ、こたろ、こたろ。
「っく...」
そして襲ってくる、罪悪感。
地獄だ。
こんなにもそばにいながら、絶対に触れることができないなんて。

昔のように何の屈託もなく抱きしめることが出来たら、どんなにいいだろう。
今もしアイツの身体に触れてしまったら、俺はきっと、止まらない。



「銀時。近頃、晋助の様子がおかしいんだ」
風呂から上がってきて酒肴を用意し始めた銀時の背に、小太郎は真剣な表情で口を開いた。
「...何がおかしいって?」
答えの先を予測しつつ、銀時は平静を装って問い返す。
「何というか...ぼうっとしていたり、苛立っていたり。何か言いたそうに俺を見ているかと思えば、俺が近づくと余計に荒れる...。一体、どうすればいいのだろう」
銀時の向かいに座り、憂いを帯びた表情で目を伏せる。全く気付いていない小太郎の鈍さに、銀時は内心ため息をついた。
「バッカおめ、それは...」
思わず出そうになった言葉を飲み込み、ごまかすように頭を掻く。小太郎はそんな銀時にお構いなしに、ひどく深刻な様子で考え込んでいた。
「反抗期、なのだろうか...」
「あァ?あいつは生まれたときから反抗期だろうが。どっちかっつーとアレだ、発情期?」
「俺は真面目な話をしているのだぞ、銀時!」
ぴしゃりと机を叩かれる。
「イヤ真面目なのはよくわかってるんだけどね、ほら、真面目すぎるのも困りモンだっつーか...ま、ま、いいから飲めよ」
とりあえずビールを差し出してみるが、小太郎は眉をきゅっと寄せ、小難しい顔で銀時を睨みつけるのみだ。銀時はやれやれと息をつき、小太郎を正面から見つめた。
「晋助も、いろいろと考える時期なんだよ。あまりこっちがオロオロしてっと、よくねぇぞ」
「それはそうだが...、俺は、晋助に、幸せに育ってほしいんだ。ただ、それだけなんだ」
心の底から、そう呟く小太郎。銀時は黙ってその肩を抱き寄せた。
「だから何かに苦しんでいるのなら、支えになってやりたい...せめて話だけでもしてくれたらと思う。...だって、家族だろう」
『家族』。
血のつながりなど何もないこの危うい関係を、小太郎は何の躊躇いもなくそう呼ぶ。
晋助も銀時も、そのまっすぐさに救われたことは何度もある。だが、今の晋助にとってそれほど残酷な言葉はなかった。
「...少し、放っておいてやったほうがいいこともあンだよ。あんま考えすぎんな。ほら、酒の用意しとくから、早く風呂入ってこい、な?」
なだめるように肩を叩き、台所から押し出す。小太郎は浮かない表情のまま、それでもおとなしく銀時の言葉に従った。
小太郎が去ってから、ふうとため息をつく。
「晋助も、辛ェだろうよ...」
一人残された銀時は、遠い眼をしてぽつりと呟いた。



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