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「いい、酒だな」
銀時が手土産に持ってきた純米酒を、ゆっくりと飲りながら、桂は梅雨の合間の貴重な夜空を見上げる。
湿った空気の中、薄雲に遮られた月がやわらかな光を降らせていた。
「だろ?」
得意げにいう銀時は、すでに少し顔が赤い。
「お前好みだと思ったんだよ」
俺はもっと甘口のがいいですけどね、そう言いながらも杯になみなみと酒を注ぎ、数杯目とも知れぬそれをぐいと呷る。
「貴様、もう少し風情を楽しまんか...今夜は、いい月だ」
桂は縁側の柱に身をもたせかけ、ゆっくりと杯を傾ける。
月の光を浴びたしどけない単衣姿に、畳の上で胡坐をかいていた銀時は吸い寄せられるように這い寄った。
「固いこと言ってねーで、お前ももっと飲めよ...」
そう言ってがばりと抱きつき、桂を縁側の床に押し倒す。反動で桂の杯が手を離れ、そのままカラカラと転がって庭に落ちた。
「ああ...」
杯の転がった先を見遣り、桂は自分を組み伏せる銀時を正面から軽く睨む。
「何をする、この酔っ払い」
「まあ、まあ...」
銀時は半ば据わった眼でへらりと笑い、その視線を受け流す。
「代わりに俺が、飲ませてやるよ」
言いながら酒瓶を手にとって直接口に含み、そのまま桂にくちづけた。
ぶちゅり、
「ぅん...っ」
こく、
白い喉が微かに動き、熱い液体が桂の体内を下っていく。その動きを追うように、銀時は桂の喉から胸元に指を這わせた。
「よせ、銀時...」
「よさねー」
「ばか、貴様もう、酔っているだろう」
「うるせぇな...」
銀時は再び酒を口に含み、生真面目なくちびるに熱い液体を流し込む。
とぷ、
こくり、
白い喉がなり、口の端から酒がつと零れ出る。顎から首筋をつたったその液体を、銀時は舌で追うように舐め上げた。
ぞくり、
熱い感触に桂の身体が疼く。
圧し掛かった銀時の重みを感じながら、桂は自分達を照らす月に気付いて苦笑した。
「こんな夜は、月に酔うのが乙というものだろう...?」
「うるせぇよ...俺は、お前に、酔ってんの」
普段なら吐かないような言葉をさらりと言ってのけるのは、酔いのなせる業か、それとも。
 
「お前も、もっと、酔っちまえよ」
獰猛な呟きとともに酒瓶を呷り、桂の顎を捕らえる。

「ン...っ」
とぷ、
ぴちゃ、
酒を口に含んではくちづけることを繰り返し、桂の身体を熱く浸していく。
「ん、ふ...」
ちゅぷ、
ぶちゅ、
何度も何度も繰り返される、くらりとするような口移し。
酒気の力に犯されて、桂の理性が次第に朦朧としてくる。
度重なるその熱い味わいに、身も、心も、深く酔い痴れていく。
 
「っは...」
どれだけ重ねたか分からなくなるほどの濃厚なくちづけを、さらにもう一度交わして。
「酔ってきただろ...?」
とろんとした桂の瞳を見つめ、銀時が悪戯っぽく笑う。
立て続けに飲まされて、桂の身体はすでに火照り始めていた。
「...貴様、ずるいぞ...」
目の端を赤く染め、頬を上気させた桂。しかし突然腕に力を込めて、銀時の身体を横に押し退ける。
「うわ...!」
急な反撃にバランスを失った銀時の上に、桂が身体を入れ替えるように乗り掛かる。
形勢逆転とばかりに艶然と笑む桂の、その美しさに心を奪われ、銀時は自分を押し倒した愛しい相手の髪を梳いた。
「何だよ...酔った途端に積極的ね、ヅラ君」
「俺ばかり酔わせてないで、貴様ももっと飲め...」
そういう桂の口調はややおぼつかない。危なっかしい手つきで酒瓶をあおり、銀時の頬を強引に包んでくちづける。
ちゅぱ、
「ンぐ」
ふわりと鼻から目元へ抜ける香り。ごくりと音をたて、銀時は口移しにされた液体を飲み下した。
「...うめェ」
低く唸ってそのまま桂の後頭部に手をやり、残った酒気も舐め取るように、愛しいくちびるを深く貪る。
「すげえ、酒が、甘口になった...」
息の上がった桂のくちびるを離して、へらり、と銀時が笑う。その言い方がおかしくて、桂もふいと微笑みを返した。
「もっと、飲むか...?」
そう言って酒瓶を取ろうとする桂の手首を掴み、身体をぐるりと回転させて、銀時は再び桂の上に覆い被さる。
「もう、酒はいいや...」
酒気を含んだ息を白い首筋に吹きかけて、桂の襟元をぐいと開く。
ほんのりと朱に染まった、肌理細かな肌が露わになった。
「何だ、貴様...人にばかり飲ませておいて」
非難めいた声をあげる桂のくちびるをゆるく塞いで、
「もう、酒はいいの」
再度呟いた銀時の、その眼に、口元に、動物的な表情が浮かんでいるのを見て。
「...では、何を?」
桂もまた、妖艶で挑発的な笑みを浮かべる。
互いの奥に潜む熱を確かめるように、2人の視線がじっとりと絡んで。

「...お前を。」

ぼそりと低く呟いて、銀時が白い身体を熱く貪りだす。
「ぁ、っ...」
「気ィ失うまで、酔わせてやるよ」

梅雨の湿った空気に滲む、荒い息、甘い息。
薄月のやわらかな光の下、二人は深く、酔い痴れていく。

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