忍者ブログ
for mobile,R15/R18
[26] [25] [24] [23] [22] [21] [20] [19] [18] [17] [16]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

※この作品は性描写があります。18歳未満の方はお戻り下さい。
18歳以上の方は自己責任でご閲覧下さい。



5.
 

身体と身体を密着させ、熱い息を吐きながら、銀時は一際強く小太郎を抱きすくめる。
「...こたろ、」
「...うん...?」
せっぱつまったその響きに、少し心配そうに小太郎が問い返す。
「俺、もう...」
震える声も途中で途切れ、突然腰をわずかに引き、それからぐいと押し込んだ。
「ぅあんッ、」
未成熟な身体に滲む突然の衝撃に、思わず声をあげる小太郎。
「こたろ、こたろ...!」
銀時は切ないほど必死な声で名を呼び、ぐ、ぐ、懸命に腰を揺らす。
「ぁ、あ、ぎんっ、ぁあっ...!」
熱く滲む痛みに声を抑えきれず、それでも銀時を包む腕は離すまいとその背を必死に抱きしめる。
「こたろ、こたろ、」
「あ、ぁう、ぎ、んっ、」
「こたろ、こたろ、あい、たかった...!」
「ぎんっ、っあ、あい、た、かった、」
ずっとずっと、あいたかった。あいしたかった。
2人は愛という言葉を使うほどまだ大人ではなく、言葉にならない想いを、互いにただ幼い言葉にして重ねあう。
「こたろ、こたろ...」
熱にうかされるようにただただ名を呼び、ぎこちなく腰を動かす銀時に、小太郎は応えようと必死にしがみつく。
突き入れられるたびに身体に鈍い痛みが走り、涙が勝手に出てくるけれど、それよりもただ今は、銀時とつながっていること、それだけを想って。
「んッ、ぎんっ、ぁ、あッ、ぎんっ...!」
「こたろ、こたろ、こたろ...!」
離れていた時を埋めるように、幼い2人は懸命に、身体を、心を、重ねて、つなげて、ひとつになって。
どうしようもない想いに突き動かされるように、ひたすら自身を押し入れる銀時と、それにどうにか応えたくて、ただ包むようにその身体を受け入れる小太郎と。
未成熟な器官の、まだやわらかい粘膜どうしが、ねちょ、ねちょ、音をたてて交じり合う。
そして互いの身体中を浸していく、青い性の目覚め。
「っぁ、ぁんっ、ああっ、あっ...」
「...っう、ぅ、は、」
この行為のもつ熱のどうしようもない熱さに、もうただ動物的な吐息しか出てこなくなって、2人の少年はそれでも必死に、ただただ一途に純粋に、互いの存在を求め合う。

 

不条理な世界の片隅で、ずっと時を濃密に共有し、互いに守り合ってきた2人。
互いの存在なくしてはいられない、2人で1つのこの仔らは、しかし残酷な現実に引き裂かれ。
残された1人は死ぬほど苦しみながら、離された1人は死ぬほど心を痛めながら、互いのいない長い長い時を過ごし。
この年頃の仔供にはあまりに長すぎる、離れていた2年の間。
思春期の入り口に再会した2人の少年は、互いの知らない時間を埋め合うかのように、成長した身体を隅々まで触れ合わせ、互いの心をつなげあって。

 

やがて腫れ上がった銀時のそれが小太郎の中ではじけ、ぐじゅりと熱く濡らされた内部に、小太郎も意識を遠のかせていく。
切ないほどの純粋さで身体をつなげた2人の幼い少年は、互いにその身体を離さないまま、ゆっくりと眠りに落ちていった。

 

6.

「...こたろ?」
そっと名を呼ぶその声に、小太郎はぼんやりと目を開ける。
そこにはひどく不安げな表情を浮かべて自分を見下ろす、幼馴染の顔。
「......ぎん、とき...」
朦朧とした表情で、小太郎はその名を口にする。身体中が重く感じられ、伸ばそうとした手はうまく上がらない。
そのやわらかな手をしっかり包み込んだ銀時は、泣きだしそうなくらい心配そうな顔をしている。
「ぎんとき...」
うつろな瞳の焦点が合い、銀時の赤い瞳を見つめて、小太郎は安心したようにおっとりと微笑んだ。
銀時がかけたのだろう、素肌は暖かな毛布に包まれている。
「......その、だいじょうぶ、か...?身体...」
手を握ったままおずおずと尋ねる銀時に、小太郎は健気な笑みを浮かべて頷く。
小さな暖炉にくべられた薪が、パチリと音を立ててはぜた。
「痛ぇとこ、とか...」
「銀時」
言葉を遮るように名を呼んで、包まれた手を自分のほうに引き寄せようとする。銀時がそれに応えるように身体を近づけると、小太郎はゆっくりと赤い眼を見つめ、心から安堵したように、言葉を紡いだ。
「銀時、やっと、あえた。」
「......小太郎。」
胸が詰まるような想いで、その黒い瞳を見つめ返して。
ぎこちなく、でもできる限りやさしく。毛布に包んだやわらかい身体を、大事にじいっと抱きしめる。
小太郎も、そっと手を銀時の身体に添える。

ふう、ふう、
穏やかに感じあう、互いの息吹、その温もり。
互いの存在が間近にあることに、今はただ、心からの安らぎを感じて。
再び離れなければならないのは、わかって、いるけれど。

「...な、手...つなご、う」
「...うん」
小太郎に掛けた毛布の中に銀時も潜り込み、2人向かい合って、そっと両手の指を絡ませる。記憶の中にあるものとは少し違うその感触に、2年の時を、感じながら。
少しだけ骨ばった銀時の指と、しなやかに伸びた小太郎の指。
2人の今を確かめるように、絆を結びなおすように、ゆっくりゆっくり、絡ませる。

2年前のあの日、どうしてもどうしても離したくなかったのに、無情な現実に無理矢理引き離されてしまった、2つの小さな手。
さみしかった。
くるしかった。
いきていくのがこわかった。
とてもとても、こころぼそかった。

でも、もうきっと、大丈夫。
引き離されたふたつの心は、時を経てまた、結ばれたから。

無言で指を絡ませ続け、安心感が身体中に満ちてくると、今度は次第に気恥ずかしくなってきて、何となく、会話が始まる。
「...何か、少し雰囲気変わったな、おまえ...」
「なんだ、それは...」
「その、なんつうか...なんでもない」
「...銀時こそ、背が、伸びたな...。声も、少し、違う」
「まぁな...、今から、成長期だし」
額を寄せ合ってこそこそと交わす会話は、まるで悪戯でもした後のようだ。2人ともどこかもぞがゆさを感じながら、でもつないだ手は離さない。
「......なぁ」
少しためらった後、銀時が口を開く。
「いつまでここに、いられんの」
「......21時の夜行列車に、乗る...。明日の朝には戻るという、約束だから」
「.........そ、か。あんま心配、かけんなよ、“家族”に」
強がるように言う銀時の手をぎゅっと握って、小太郎はまっすぐに赤い瞳を見据えた。
「...銀時。」
「な、んだよ...」
「俺は必ずまた、帰ってくる。」
「......たりめーだ」
「俺はいつでも、...おまえのことを、おもってる」
「.........、たりめーだ」
上半身をぐいと小太郎の上にかぶせ、ぶつけるようにくちびるを重ねる。
別れまでのしばしの間、2人は互いの温もりを身体に染み込ませるように、ただひたすらに、抱きしめあっていた。

 

 


 

 

 
夜中、ふと寒気を感じて銀時は目を覚ました。
無意識に隣に目をやると、静かに寝息をたてる愛しい相方の寝顔。そっと足先を触れ合わせると、小太郎のそれはずいぶんと冷え切っている。
銀時は布団と一緒に小太郎を抱きこみ、暖めるように足を絡め、ゆるくゆるく、くちびるを触れ合わせた。起こさないつもりだったがぼんやりと小太郎の目が開き、頭をそっと撫でてやると再び安心したように目を閉じる。
抱きこんでいるせいで少し体温があがったのか、小太郎の青白い頬にそっと赤みが差した。
そのまま小太郎の寝息を胸元に感じながら、銀時はふと思い出す。はじめて身体を触れ合わせた、幼いあの日のことを。
冬の冷たい空気の中、どうしてもどうしてもひとつになりたくて、そうでもしないともう生きていけないというくらいの必死さで、未成熟な身体を無理矢理つなげた自分達。
離れていた間が長すぎて、苦しすぎて、小太郎をひどく傷つけてもおかしくはないようなやり方だったけど、あいつはそれを必死に受け入れて、自分にあたたかな心を思い出させてくれた。
随分後で知ったことだが、逢えなかった2年の間、あいつは養父母に内緒でこつこつと小遣いを貯め、ようやく旅費の分が貯まったところで一人旅の申し出をしたらしい。
子供にとってはかなり遠い旅程だからはじめは当然反対され、しかしあまりの必死さと意志の強さに最終的には許しが出たそうだ。
あいつのまっすぐさ、先の光を見据える凛とした強さに、俺は何度救われたか知れない。
この世界にただひとりの、愛して愛してやまない、かけがえのないもの。
銀時はいまだに、夢みたいだ、と時々思う。
離れていたあの2年の間、ただただ地獄のように苦しかった毎日が、今では、穏やかな幸せに包まれている。

腕の中の愛しい寝顔を見つめ、もう一度だけくちびるを合わせて、銀時もゆっくりと目を閉じた。

 



 

PR


忍者ブログ [PR]
カレンダー
04 2025/05 06
S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31
バーコード