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※この作品は性描写があります。18歳未満の方はお戻り下さい。
18歳以上の方は自己責任でご閲覧下さい。

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「いい、酒だな」
銀時が手土産に持ってきた純米酒を、ゆっくりと飲りながら、桂は梅雨の合間の貴重な夜空を見上げる。
湿った空気の中、薄雲に遮られた月がやわらかな光を降らせていた。
「だろ?」
得意げにいう銀時は、すでに少し顔が赤い。
「お前好みだと思ったんだよ」
俺はもっと甘口のがいいですけどね、そう言いながらも杯になみなみと酒を注ぎ、数杯目とも知れぬそれをぐいと呷る。
「貴様、もう少し風情を楽しまんか...今夜は、いい月だ」
桂は縁側の柱に身をもたせかけ、ゆっくりと杯を傾ける。
月の光を浴びたしどけない単衣姿に、畳の上で胡坐をかいていた銀時は吸い寄せられるように這い寄った。
「固いこと言ってねーで、お前ももっと飲めよ...」
そう言ってがばりと抱きつき、桂を縁側の床に押し倒す。反動で桂の杯が手を離れ、そのままカラカラと転がって庭に落ちた。
「ああ...」
杯の転がった先を見遣り、桂は自分を組み伏せる銀時を正面から軽く睨む。
「何をする、この酔っ払い」
「まあ、まあ...」
銀時は半ば据わった眼でへらりと笑い、その視線を受け流す。
「代わりに俺が、飲ませてやるよ」
言いながら酒瓶を手にとって直接口に含み、そのまま桂にくちづけた。
ぶちゅり、
「ぅん...っ」
こく、
白い喉が微かに動き、熱い液体が桂の体内を下っていく。その動きを追うように、銀時は桂の喉から胸元に指を這わせた。
「よせ、銀時...」
「よさねー」
「ばか、貴様もう、酔っているだろう」
「うるせぇな...」
銀時は再び酒を口に含み、生真面目なくちびるに熱い液体を流し込む。
とぷ、
こくり、
白い喉がなり、口の端から酒がつと零れ出る。顎から首筋をつたったその液体を、銀時は舌で追うように舐め上げた。
ぞくり、
熱い感触に桂の身体が疼く。
圧し掛かった銀時の重みを感じながら、桂は自分達を照らす月に気付いて苦笑した。
「こんな夜は、月に酔うのが乙というものだろう...?」
「うるせぇよ...俺は、お前に、酔ってんの」
普段なら吐かないような言葉をさらりと言ってのけるのは、酔いのなせる業か、それとも。
 
「お前も、もっと、酔っちまえよ」
獰猛な呟きとともに酒瓶を呷り、桂の顎を捕らえる。

「ン...っ」
とぷ、
ぴちゃ、
酒を口に含んではくちづけることを繰り返し、桂の身体を熱く浸していく。
「ん、ふ...」
ちゅぷ、
ぶちゅ、
何度も何度も繰り返される、くらりとするような口移し。
酒気の力に犯されて、桂の理性が次第に朦朧としてくる。
度重なるその熱い味わいに、身も、心も、深く酔い痴れていく。
 
「っは...」
どれだけ重ねたか分からなくなるほどの濃厚なくちづけを、さらにもう一度交わして。
「酔ってきただろ...?」
とろんとした桂の瞳を見つめ、銀時が悪戯っぽく笑う。
立て続けに飲まされて、桂の身体はすでに火照り始めていた。
「...貴様、ずるいぞ...」
目の端を赤く染め、頬を上気させた桂。しかし突然腕に力を込めて、銀時の身体を横に押し退ける。
「うわ...!」
急な反撃にバランスを失った銀時の上に、桂が身体を入れ替えるように乗り掛かる。
形勢逆転とばかりに艶然と笑む桂の、その美しさに心を奪われ、銀時は自分を押し倒した愛しい相手の髪を梳いた。
「何だよ...酔った途端に積極的ね、ヅラ君」
「俺ばかり酔わせてないで、貴様ももっと飲め...」
そういう桂の口調はややおぼつかない。危なっかしい手つきで酒瓶をあおり、銀時の頬を強引に包んでくちづける。
ちゅぱ、
「ンぐ」
ふわりと鼻から目元へ抜ける香り。ごくりと音をたて、銀時は口移しにされた液体を飲み下した。
「...うめェ」
低く唸ってそのまま桂の後頭部に手をやり、残った酒気も舐め取るように、愛しいくちびるを深く貪る。
「すげえ、酒が、甘口になった...」
息の上がった桂のくちびるを離して、へらり、と銀時が笑う。その言い方がおかしくて、桂もふいと微笑みを返した。
「もっと、飲むか...?」
そう言って酒瓶を取ろうとする桂の手首を掴み、身体をぐるりと回転させて、銀時は再び桂の上に覆い被さる。
「もう、酒はいいや...」
酒気を含んだ息を白い首筋に吹きかけて、桂の襟元をぐいと開く。
ほんのりと朱に染まった、肌理細かな肌が露わになった。
「何だ、貴様...人にばかり飲ませておいて」
非難めいた声をあげる桂のくちびるをゆるく塞いで、
「もう、酒はいいの」
再度呟いた銀時の、その眼に、口元に、動物的な表情が浮かんでいるのを見て。
「...では、何を?」
桂もまた、妖艶で挑発的な笑みを浮かべる。
互いの奥に潜む熱を確かめるように、2人の視線がじっとりと絡んで。

「...お前を。」

ぼそりと低く呟いて、銀時が白い身体を熱く貪りだす。
「ぁ、っ...」
「気ィ失うまで、酔わせてやるよ」

梅雨の湿った空気に滲む、荒い息、甘い息。
薄月のやわらかな光の下、二人は深く、酔い痴れていく。

もしも自分が桂より年長であったなら、こんなふうに手をひいて、ずっと傍に置くことができたのだろうか。
いつもその背を追うのではなく、他の誰かに隣を取られることもなく。

 

 

高杉が古い隠れ家を訪れた夜、そこにいたのはひとりの幼い仔供だった。
初めはひどく戸惑ったが、その顔や物言い、仕草は、眩暈のするほど見覚えあるもので、次第にこれは桂なのだと認めざるを得なくなってくる。
本人の記憶はひどく混濁しており、自分が桂小太郎だということは認識しているがその他のことはおぼろげで、知能もこの年頃のものに退行しているようだった。

少し迷った後、自分の隠れ家に連れて帰ることにする。手をひいてやると、幼い桂は存外素直に付いて来た。
「たかすぎ」
記憶が混濁しているくせに、なぜかその名は覚えている。高杉の歩幅に合わせようとしているのか、小さな足で必死に歩きながら、桂はその隻眼を見上げた。
「おまえ、その左目は...?」
問うその表情は仔供ながらにひどく心配げで、高杉はふいに傷を負った当時のことを思い出す。
血、 雨、 叫び。 闇。 薄らと滲む、桂の泣き出しそうな顔。
「...別に。昨日今日の傷じゃねぇよ」
よぎった記憶を振り払うようにそっけなく言い、幼い手をひいて先を急ぐ。桂は懸命に足を動かしつつ、恐る恐る言葉を重ねた。
「いたむ、か...?」
「今さら。どうってことはねェ」
「そうか...、だが...」
やわらかな眉を悲しそうにしかめ、冷たい外気に息を白く吐きながら、桂は握られた小さな手にぎゅっと力を込めた。
 

高杉の隠れ家に着く頃には、月が夜空に高く上っていた。
冷えた部屋に明かりを灯し、暖を入れる。
歩き疲れたのだろうか、壁に寄り掛かった桂はこくりこくりと眠っていた。
そっと抱きかかえると小さな頭が胸元にもたれかかる。体温の高い仔供の吐息が、高杉の腕にふわりとかかった。
 
決定的に決裂した出来事は、まだ記憶に新しい。
心の奥底まで射抜くような視線は、今は幼い瞼に覆われ、安らかな寝息をたてている。
小さな手の中にそっと指を差し込むと、幼い掌が無意識にその指を包んだ。

 

ぐっすりと眠り込んでいる桂を手放すことができないまま、気付くと夜が明けていた。
一晩中仔供を抱いて座っているというのは、そう楽なことではない。蒲団にでも移せばよかったものを、なぜか離すのが躊躇われた。
自分の腕の中で安らかな寝息をたてている桂。いつも冷たい身体とは逆に、ほのかな温かさを帯びている。
頬は柔らかく染まっており、小さく開かれたくちびるがすうすうと規則的な呼吸を繰り返す。
ぷくりとしたそのくちびるに指先でそっと触れると、やわらかくあたたかく、幸せな手触りがした。
「んぅ...」
くちびるが小さく動き、高杉はその指を離してやる。
愛らしくやわらかな頬、無防備にあどけないその寝顔。
飽かず眺めているうちに、いつも心のどこかを占める黒く重い感情が、透き通る水面のように凪いでいく。
ふいに何かがたまらなくなり、気付くと高杉はその頬に口付けていた。

 

 

「熱いぞ。ゆっくり食え」
蕎麦をいっぱいに頬張って、小さな口がもぐもぐと動く。高杉が取り分けてやった椀を大事そうに抱え、幼い手には長すぎる箸をどうにか握りしめながら、桂は生真面目な表情で頷いた。
少食のくせに、口いっぱいに物を頬張るのは昔から変わっていない。
所作の一つ一つに映るありし日の面影は薄めていた何かをひどく掻き乱す。
高杉はどこか表情の抜けた眼で、目の前にある追憶をじっと見つめていた。
 
蕎麦屋の外は冬の陽射し、澄んだ空気に満ちている。
「...ほら。迷子になられたらめんどくせェからな」
笠を目深に被ってから、ぶっきらぼうに手を差し出す。すると小さな手が吸い付くように握りしめてきた。
「わかった。まいごになどならぬ」
見上げてまっすぐ返ってくる、素直で真面目なその答え。離すまいと握られたその手はやわらかく、高杉の中に温かな感触が広がった。


手を引いて、道端を歩く。

 
もしもこのまま永遠に、共に時を過ごせたら。
自分の傍に桂を置いて、片時も離さずに。
共に世界の壊れる様を見つめて。


有り得ない『もしも』に想いを取られていると、くいくいと袖を引っ張る動きに我に返らされた。
「おい、たかすぎ、たかすぎ」
小さな手で必死に呼びかけるその仕草。高杉は一呼吸置いてから言葉を返す。
「...あンだよ。どうした」
無関心な答えを意図したつもりが、しかし出た声はなぜか穏やかな音だった。
「たかすぎ、あれ、あれ」
袖を必死に引っ張りつつも、幼い桂の瞳はある店の一角に釘付けになっている。
「あれ、なんだ」
指差す先には、ワゴンに山積みにされた得体の知れないぬいぐるみ。桂は瞳をいっぱいに見開き、頬を染めて白いそれに見入っていた。
「たかすぎ、あれはなんだ。あれ、かわいい」
黒くくりくりとした眼が高杉を見上げる。ひょんと結ばれた髪のしっぽと相まって、その姿は仔リスか何かに例えられそうなほどに愛らしい。
「.........てめェ、それは、俺にアレを買えってことか?」
かわいいのはお前だろうがと一瞬思い、すぐにそれを打ち消してから、高杉は少し恐い顔で見返す。
「そうじゃない。かわいいといっているんだ」
「そうかよ。んじゃ行くぞ」
そう言って歩き出そうとすると、着物の裾を掴んだ手に止められる。
「...たかすぎ」
「何だよ」
「...あれ、かわいい」
「......」
「......」
しばらくの沈黙の後、高杉は大きく舌打ちをして店の中へ入っていった。
 

 

右手で骨ばった手を握りしめ、左腕には得体の知れない白いぬいぐるみを抱え、桂は頬を染めて歩く。顔は生真面目なままだが、その実すごく嬉しがっていることが高杉にはよく分かった。
表情の変化に乏しいのは昔から。それに見合わぬ内面の激しさも昔から。
甦ってくる記憶の数々を振り払うように、高杉は冬空を見上げる。
はらり、欠片がひとひら舞い落ちてきた。
「雪、か...」
はらり、はらり、はらり。
次第に増えていく白い欠片に、高杉は自分の笠を取り、幼い頭に乗せてやる。
それがひどく優しい仕草であるのを、自身では気付かないまま。
「あ...」
桂がふいに声を上げる。
「どうした?」
足を止めた桂に視線を向けると、桂はぬいぐるみを抱えた手で道端の木を指差した。
「みろ、たかすぎ。おおきなさくらの木だ」
無常の世を見つめるように立つ、太く大きな幹。花も葉もないその枝は、冬のもの哀しさを体現しているように高杉には見える。
「せんせいがみたら、きっとおよろこびになるな」
するりと出たその発言に、高杉はまじまじと桂を見つめた。
 
記憶が混濁した幼い意識の中で、世界は一体どのような姿をしているのだろうか。
師はとうに亡くなっている。侍はとうに滅んでいる。国はとうに腐っている。
この無垢な心に残酷な現実を突きつけてやったら、果たしてどうなるか。

「...枯れた桜を見て、何が嬉しい?」
湧き出した黒い靄を抑えるように、高杉は低く平坦な声で問う。
「たかすぎ、さくらはいいな」
桂は桜を見上げたまま、まっすぐな声でその名を呼ぶ。
「なんどでもさくんだ。どんなにちったとしても、はるには、また」
樹木を見つめる、黒くまっすぐな瞳。桜の生命力を見据えるその強い視線。
ふいに幼い日の記憶が、息もできぬほどの切なさで迫ってくる。
 

  『しんすけ。さくらはまた、春がくればかならず咲く。だから泣かなくていいんだ、しんすけ』


甦ってくる声。還ってくる光。
それはまだ自分達がこの国の現実を知らなかった、最も幸福な時代。
桜の散るのがどうしようもなく哀しくて寂しくて泣いていた自分と、その手を力強く握りまっすぐな瞳で諭す桂。
自分のそばには桂がいて、桂のそばには自分がいて、
こんな未来が待っているなど考えもしなかった、あたたかくも遠い日々。
もう決して手の届かないぬくもり。
 

「...すぎ、たかすぎ」
名を呼ぶ声に、遠くなっていた意識が現実に引き戻された。
気付くと雪はその量を増し、はらはらと泣くように降り積もっていく。
「かぜひくぞ」
桂は必死に背伸びをし、高杉の着物にかかった雪を、小さな手で懸命に振り払おうとしていた。
「おまえはかぜをひくとひどいだろう。はやくかえろう」
自分の頭に乗せられた笠を取り、高杉に被せようとするが届かずに何度も飛び跳ねる。自分の肩に雪が重なっていくことには構わずに。
 
昔からこうだった、こいつは、いつも。
だが時はもう、戻ることはない。

「小太郎...、」
気付くと高杉は膝を付き、衝動的にその身体を抱き締めていた。口をついて出たのは遥か遠い日の呼び名。
ぱらり、笠が地面に落ちた。
「...たかすぎ?」
突然のことに驚いた桂が、それでも小さな腕でしっかりと、抱きつく身体を抱き締め返す。
「どこか、いたいのか...?」
幼い掌が頬を辿り、涙を拭う動きをする。その仕草に高杉は、自分が泣いていることを知った。
「いたむ、のか」
あたたかな指がそっと包帯をなぞる。
高杉は無言のまま、小さな肩に顔を埋めた。想いが堰を切るのを押し留めるように。
 

共に過ごした、暖かくも遠い幼き日々。戦渦に飛び込んで行き、生と死の狭間で極限を共有した十代。
仲間がばらばらになり、その中で二人想いを捨てきれず、胸の澱を吐き出すように続けた武力行為。
そして気がつくと離れていた、互いの道。
同じ怒りと哀しみが心に深く根ざしているはずなのに、目指すものは全く逆だった。
だが主義も思想も全て超えたところで、自分にはどうしようもなく、桂の存在が必要なのだとしたら。
 

ああ、じぶんはただずっと、こうして泣きたかっただけなのかもしれない。

 

 

その日の晩、桂は熱を出した。
外気の冷たさが幼い身体に酷だったのか、肉体の急激な変化が身体に負荷をかけていたのか。高熱に息を吐く小さな唇と上下する胸が痛々しい。
薬を飲ませようとしたが、嚥下が困難なのか、ひどく咳き込んで吐き出してしまう。
高杉は水と錠剤を己の口内に含み、赤く火照った桂の唇を親指で開いてやってから、そっとそこに口付けた。
ぴちゃ、水の漏れる音がして、こくりと小さな喉が鳴る。はぁ、と幼い喉が息をついた。
濡らした布で汗を拭ってやってから、抱き起こしていたその身体を横たえようとすると、小さな手が着物にしがみつい
ているのに気付く。
少し迷った後、高杉は桂がより楽な姿勢になるように抱き直し、毛布で包み、額を濡らした布で拭ってやった。
苦しげだった息が、少しだけ安らかになる。全身を高杉に包まれて、幼い桂の表情が、安心したように緩んだ。

どこかでずっと、自分が桂を欲するほどには桂は自分を欲していないと感じていた。
だが、もしも。
自分に桂が必要なように、桂もまた、どうしようもなく自分が必要なのだとしたら。

ふと浮かんだその思いを自嘲の笑みで振り払い、高杉は腕に抱いた桂を改めて見つめる。
自分に身体を預けている桂の、熱のせいで頬は赤く、吐く息の温度は高い。
額に張り付いた髪をそっと避けてやり、赤い頬を冷たい自分の手で包む。
再び遠い日のことが脳裏をよぎった。
幼い頃はよく熱を出していた自分、怒ったような心配そうな顔をしながらも夜通しそばにいた桂。高熱に朦朧とした意識の中、その手を一晩中握っていたのを覚えている。
熱く火照った小さな手に、高杉はそっと自分の掌を添えた。

 

深夜、熱が上がってきたのか、桂がうわ言を口にする。断片的にだが、せんせい、とか、しんすけ、とか、そういう単語が聞き取れた。
悲痛な声で途切れ途切れに紡がれる言葉を聞いていると、どうやら師が処刑された日の凄絶な記憶が、混濁した意識の中で幼い桂を圧倒しているようだった。
普段奥底に眠らせている苦しみや哀しみは、未成熟な心では統制する術がない。
うなされて壊れそうなほどに震える唇を、高杉は半ば無意識に己の唇で塞いだ。
「...小太郎、」
引き戻すように名を呼び、苦しみを和らげるようにその背を撫でてやる。だが次の瞬間、高杉はその手をはたと止めた。

そうだ。抱いている苦しみや憎しみは、全く同じものの筈。
なのになぜ、目指すものがこんなにも違ってしまったのか。

突然腹立たしさと哀しみが同じ大きさで高杉の脳裏を圧倒し、どうしようもなく黒い衝動が胸を突いた。
眠る桂をがばりと抱き込み、そのままきつくきつく抱き締める。
「っ、いた...!」
抱き締める力のあまりの強さに、目を覚ました桂の悲鳴が上がる。だが桂がもがけばもがくほど、締め付ける力は強さを増す。
たとえ壊れても構わない、ただただ苦しい想いが募り、もう他にどうすればよいのか分からない。
「っ、かっすぎ...!」
みし、細い腕が鳴った。圧迫されて息が苦しいのだろう、名を呼ぶ声は掠れている。だが高杉は離さない。
もがく身体を押さえ付け、まるで一つになることを願うようにひたすら強く抱き締める。
「っ...、」
息が出来ず朦朧としてくる桂の意識。もがく力が次第に弱くなっていく。
「しんすけ...」
ふいに零れた昔の呼び名。あまりに懐かしすぎるその響きに、高杉が一瞬怯む。
緩んだ腕の中、幼い桂はくったりと気を失った。
 
一度、言われたことがある。
『どんなに強く抱いたとしても、俺とお前は一つにはなれぬ』

知って、いた。
どんなに強く抱いたとしても、一つになどなれないことは。
だからこそこんなにも強く、自分は桂を欲しているのだ。
 


 

東の空が白み始めた頃、高杉はひとつの決心をした。
桂の熱は少し引き始めたようで、呼吸はだいぶ穏やかになっている。
高杉は額を濡らした布で拭ってから、その身体を暖かな衣で幾重にも包んでやった。
眠る桂を起こさぬようにそっと抱きかかえ、高杉は隠れ家を出る。

これ以上、一緒にいるわけにはいかなかった。
非力で無防備なこの仔供を、自分はきっと、壊してしまう。


最後にもう一度口づけてから、高杉はかぶき町の方へと向かった。

※この作品は性描写があります。18歳未満の方はお戻り下さい。
18歳以上の方は自己責任でご閲覧下さい。

最近、小太郎を見る晋助の目が、変わってきたように感じる。

この世の全部を恨むような目をしていたこいつを、小太郎がうちに連れてきたのはもう5年も前のことだ。
どんだけクソガキに育つんだと思っていたら、小太郎の深い愛情に包まれて、かなりひねくれてはいるものの何とか人の道を踏み外すことなく育ってきた。
だが13になったこいつの、小太郎を見る視線が、この頃危ない。
じっと焦がれるように見つめたり、ぼうっと憬れるように眺めたり、有体に言えば恋する者の視線。
そして俺に向けてくる、恋敵への視線。
互いに牽制しあう毎日。
 

「てめぇ、何ぼーっとしてんだよ。宿題はもうやったのか」
夕飯の支度をする小太郎をリビングから呆けたように見つめている晋助に、意地の悪い質問を投げかける。
「...うるせぇな。テメーは黙ってろ」
案の定、晋助は不機嫌な顔で振り返った。
「てめ、父親に向かってテメーとは何だ」
「テメーなんか、テメーで十分だ。テメーだっておれのことテメーって呼ぶだろーが」
「てめぇ、父親にテメーなんかテメーで十分だとは何だ。つかテメー言い過ぎて訳わかんなくなってきた、もうめんどくせえ。テメーと呼ぶのももったいねぇ、テメーなんかクソガキで十分だ」
「何だとこのクソオヤジ、父親父親って威張んな!おれだって別に好きでお前の...」
言いかけた晋助の言葉を、凛とした声が遮った。
「晋助!」
ぎくりと肩を揺らした晋助の後ろに、艶やかな黒髪をひとつにまとめた小太郎の姿。
「父親に向かってクソオヤジとは何だ。そんな悪い言葉を教えた覚えはないぞ」
凛々しく厳しい口調で、晋助を叱り付ける。
「ごめん、こたろ...」
晋助は猫のようにしゅんとして謝った。へへ、ザマーミロ。にやりとほくそ笑むと、小太郎はすかさず俺の頭をはたく。
「いってぇ!何すんだよ!」
「貴様もだぞ銀時、子供相手に大人げないと思わんか!父親として、そんなことでは困るぞ」
「何で俺だけ殴られンだよ!」
「貴様の曲がった根性はこうでもせんと治らんだろう!」
うつむいている晋助が、密かにニヤニヤしているのが目に入った。あのガキャ、後で覚えてろよ。

 

「おい、風呂沸いたぞ」
風呂具合を確かめてからリビングに戻ると、小太郎の膝ですうすうと寝息をたてる晋助。でもこいつ、瞼がピクピクしてやがる。
「晋助、起きてンだろ?さっさと入れ」
狸寝入りを決め込む晋助の頭を小突こうとすると、俺の手が光の速さで叩かれた。
「しっ!寝ている子供を叩き起こすやつがあるか」
小声で叱り飛ばし、俺をキッと睨んでから、晋助の頭をゆっくりと優しく撫ぜる。その瞬間晋助が薄目を開き、俺を見てニヤリと笑った。
「このクソガキ...!」
「銀時」
それに気付かぬ小太郎が、不機嫌な声で俺を睨みつける。
「あ、いや、ちげーよ...」
俺はしどろもどろだ。何だってこんなに尻に敷かれてんの俺。
「晋助、風呂が沸いたそうだ。今日はもう遅い、早く入っておいで」
小太郎は俺に対するのとはまったく違う優しい声で、そっと晋助を揺り起こす。クソガキはわざとらしく伸びをしてから目を開けた。
「う~ん...」
目をこすり、甘えるように小太郎に抱きつく。
「なあこたろー、いっしょに風呂入ろーぜ」
「こらクソガキ、13にもなって一人で風呂にも入れねェのか?」
茶々を入れる俺をギロリと睨みつけてから、晋助は猫撫で声でささやく。
「なあ、こたろ、いいだろ?」
「まったく、いくつになっても甘えん坊だな、晋助は」
頭をくしゃりと撫でてから、小太郎は微笑んだ。クソ、その優しさを少しでも俺に分けてくんねぇかな。
「すまないが、俺はまだ少し仕事が残っているんだ。そうだ、銀時と入るといい」
「「はぁ!!?」」
2人の声が盛大にハモった。
 

「...ったく、なんでテメーなんかと...」
「バッカヤロ、それはこっちの台詞だ」
晋助と俺、湯船に仲良く並んで浸かり、さっきから同じ言葉ばかりをアホみたいに繰り返す。
「だいたいテメ、13にもなって甘え過ぎなんだよ。小太郎にこれ以上近づくんじゃねェ」
「何だよ。自分ばっかり怒られるからっておれに当たんな」
晋助は生意気な口調で言い返してくる。父親の威厳も何もあったもんじゃねぇ。
「この際はっきりさせとくけどな、小太郎は俺の妻!お前は子供!そこんとこ勘違いすンなよ」
「ふん、だから何だってンだよ。おれの方がこたろーに愛されてるもんね」
それは薄々俺も感じていたことで、ぐっと声が詰まる。
「おれだって、あと2・3年もすればいっちょまえの男なんだからな。ジジイには負けねえ」
...こンの、クソガキ!!

 

「小太郎。ちょっと話がある」
風呂上がり。晋助をさっさと子供部屋に追いやってから、俺は亭主面で小太郎に向き直った。
「何だ、改まって」
「おめー、最近晋助を甘やかしすぎなんじゃねぇのか?」
なるべく厳しい口調で、小太郎を見据える。だが小太郎は少しも動じることなく、まっすぐな瞳で反論してきた。
「叱るべき時はきちんと叱っている。貴様は何だ、自分も子供のようではないか」
「う...うるせェよ」
「子供相手にやきもちなど焼くな、大人げない」
俺が説教するはずが、いつの間にか立場逆転。
「だいたい貴様は晋助の父親という自覚が足らん」
小太郎は口を尖らせて小言を言う。父親ってお前が勝手にそう決めただけだろ、とは思っても言わない。
俺だって俺なりに、晋助を俺と小太郎の子としてマジで育ててきたんだ。だが、父親だからこそ許せないこともある。
「ばっかオメ、思春期のガキを甘く見ンなよ?あの年頃のガキは何やらかすか分かんねーんだからな。現に俺がお前を初めて押し倒したのも確か13かそこら...」
そう、幼馴染の豹変ぶりに怯えるこいつを無理矢理に押し倒して、なだめつすかしつ犯したのは確か13の冬だった。もう10年以上前になるけど、昨日のことのように覚えてる。
小太郎も当時のことを思い出したのか、顔がばっと赤くなった。
「あ...あれは貴様が早熟すぎなんだ、このケダモノめ!晋助と貴様を一緒にするな」
「バカ、あいつだって立派なケダモノ予備軍だぞ?絶対おめーをそーゆー目で見てるって!」
「それは貴様が煩悩の塊だからそう思うのだろう...哀れな奴だ」
そう言って蔑むように俺を睨んだ。あああ、何て可哀想な俺。
 
 

夜も更け、仕事を片付けた小太郎が風呂から上がってきた。
「何だ、まだ起きていたのか」
冷酒をちびちびとヤる俺の姿を見つけ、小太郎は髪を拭きながら寄って来る。
「まあな...。ちょっと飲みたい気分だったんだ」
テーブルの上にはよく冷えた日本酒と、小さなペアグラス。灯りはつけずに、月明かりで飲むのが乙だ。
小太郎は窓辺に佇み、ふと月を見上げた。
「晋助が俺達の子になったのも、こんな満月の夜だったな...」
「ああ、そうだったな」
俺も覚えている。こいつのすることには昔から驚かされてばかりだったが、この上なく険しい眼をした8歳の子供を『今日から俺達の子だ』と連れてきたときにはさすがの俺も仰天した。
「お前のすることは昔から無茶ばっかだよ、まったく」
「だが、お前はちゃんとそれに付き合ってくれるだろう?」
見透かすような眼をして小太郎は微笑み、満月に視線を移す。月明かりを浴びるその背は、消えてしまいそうなほどに儚い。
「お前も、飲めよ」
そう言いながら、俺は小太郎のグラスに冷酒を注いでやった。
「俺など酔わせて、どうするつもりだ...?」
ふわりと振り返って優しく微笑む小太郎の、しなやかな首筋が眩しくて、いとしくて。俺は椅子から立ち上がり、小太郎を後ろからそっと抱きしめた。
「なあ、教育熱心なのも結構だけどよ...」
耳朶に息を吹きかけるようにささやく。
「たまには、独占させろや」
甘えるようにいとおしむように、首筋に口唇を押し当てる。
「俺は、お前の亭主なんだからよ...?」
ややあって、細い指が俺の腕に触れた。
「まったく...子供に嫉妬とは、とんだ父親だな」
そう言う口調は優しくて、指は慈しむように俺の腕を撫でる。俺は小太郎の耳の下に口唇をつけ、なるべくこいつが感じるように、熱い吐息でささやいた。
「今日...いい?」
腕の中に閉じ込めて、白いうなじに鎖骨に、熱い口唇を押し当てる。俺に抱きすくめられた身体が、僅かに悶え始めるのが分かった。お、いい感じ。
「最近かまってくれないし、お前」
大きな掌で、細い身体をゆっくりと下から撫ぜる。腿をしっとりと撫で回し、脇腹から胸元を辿り、首筋を包み込むようになぞり、顎を捉えて後ろを向かせる。そのときにはもう、きれいな
切れ長の目元が、ほんのりと赤くなっていた。あと、もう少し。
「ぎん...、」
「な、お前は、俺の妻だろ...?」
ぽってりとした口唇にくちづけて、舌をゆっくりと挿し込み、ねっとりと絡める。小太郎の身体から、じわりと力が抜けていくのがわかった。
「...小太郎」
ダメ押しに、低い声で名前を呼んで。
「しよ?」
顔を肩口に埋める。ついでに身体を密着させて、俺の主張しかけた熱を押し当てる。
「...まったく...」
ややあって、小太郎は少し困ったように、それでも柔らかく微笑んだ。 うっしゃ!
「晋助が、寝ついたらな...」
こんなときでさえ子供の名を出すこいつだが、あとでたっぷりお前は俺のものだと教え込んでやることだしと、今は勘弁してやることにした。

 

冷えた酒を穏やかに飲んで、大人の時間を楽しんで。ああ、小太郎ってきれいだ、と何度も思って。
少しだけ酔った細い身体を抱き上げてくちづけて、寝室のドアを上機嫌で開けて。
そこで俺の目に飛び込んで来たものは。
「こたろー遅いよ、早く寝ようぜ」
「し、晋助っ!!!」
何と、クソガキが小悪魔の顔をしてベッドの上に座ってやがった。
「て、てめ、ここは夫婦の聖域だぞ!!ガキは子供部屋で寝ろ!!」
「こたろ、どうしたんだよ。具合悪いのか?」
俺の言葉は完全無視。俺に抱き抱えられた小太郎を見て、晋助はちょこんと愛らしく首を傾げた。てめ、こんなときだけ子供の武器を使うんじゃねえ!
「あ、いや...大丈夫だ。晋助こそどうした、眠れないのか?」
俺の腕をあっさりと振りほどいて、小太郎は晋助の方に駆け寄る。何だよそれ!
「すっげえ怖い夢見ちゃってさ...ひとりじゃ眠れそうにないんだよね。こたろ、一緒に寝てくれる?」
「そうか、それは怖かったな、かわいそうに...」
小太郎は晋助を包むように抱き寄せて、ゆっくりと頭を撫でる。その慈愛に満ちた様子に、ああ、俺はこいつのこういうところも好きなんだよなと、惚れた弱みをしみじみと噛み締めた。
いつだってこいつは、他人のために全力で自分を投げ出す奴だった。
「もう大丈夫だ...。腕枕して寝てやろうな」
小太郎は晋助を立たせると、その手を引いて、
「銀時...何を突っ立っている。どけ」
「え?あ、ハイ」
ドアのところに呆然と立ち尽くす俺を押しのけ、2人して子供部屋に行ってしまった。晋助がちらりと振り返り、ベッと舌を出す。
後には、夫婦の寝室にぽつんと1人取り残された俺。
「......、ちょっとォォォォ!!」
はっと我に返って叫び声をあげた俺に、廊下の小太郎が僅かに振り返る。
そのくちびるが、『あとでな』と動いたように見えて、
ああ、俺もちゃんと愛されてるよな、と思い、心がじわりと暖かくなった。
 

 

怖い夢を見たというのは、あながちウソではなかった。
おれがまだ物心つくかつかないかというころの、原初的な記憶。
おれを殴り、投げつけ、罵る、誰か。おそらく、本当の親、というやつなのだろう。
おれは幼い頃に捨てられた。そんなこと、どうでもいい。むしろそのおかげで小太郎と出会うことが出来たのだから、心底感謝してるんだ。
だが、時々、幼い頃のおれの怒りが、おれの心を突き破ってくることがある。そんなとき、おれは怖くて、小太郎がいないと壊れてしまいそうになる。
でも、おれが本当に壊れてしまうことはない。おれのそばにはいつも小太郎がいるから。
 
「なあこたろ、銀時とおれ、どっちが好き?」
ベッドの中で小太郎の腕に頭を乗せ、おれはふと聞いてみた。
「どちらも、俺にとってかけがえのない、大切なものだよ」
小太郎はやさしい声で答え、おれの瞳をそっと覗きこんだ。
「...晋助は、銀時が嫌いなのか?」
「...別に」
小太郎の口から出た銀時という単語に、おれは不機嫌になる。
「ただ、気にくわねェんだよ」
プイと横を向いて呟く。あんなやつが、小太郎のただ一人の相手だなんて。
「はは...、晋助は、父親似だな」
「なっ!?」
ずいぶん唐突で失礼な言い草に、おれは思わずムッと来た。
「どこがだよ!?全然似てねーよあんなやつ!!」
「そうか...?俺には、2人がとても仲良く見えるのだがな。俺だけ除け者にされているようで、ときどき寂しくもあるぞ」
「仲いい...?何言ってんだ」
まるで見当はずれな小太郎の言葉。おれはますます不機嫌になった。
「違うのか?」
小太郎はからかうようにおれの頭をくしゃっと撫でた。ちぇ、また子供扱いだ。
「あれはな、今でこそああいう男だが、あいつなりに色んな思いを抱えて生きてきたのだよ」
小太郎はやさしい表情で、おだやかに語る。なんだよ、そんなカオであいつのことを想わないで。
「はじめて出合ったときはな、幼い頃のお前のように、憎しみしか知らぬような目をした子供だった」
「え...?」
あんなちゃらんぽらんなやつが?と喉まで出かけて、でも小太郎に嫌われたくなくて、ぐっと言葉を押さえ込む。
「だがな、あいつはいろんな思いを、捨てずに抱える道を選んだのだ...苦しいだろうがな。あいつは、捨て切れなかった。苦しみながらも、抱えてこれまで生きてきたのだよ」
小太郎は、遠い眼をしていた。
おれのしらない、2人の歴史。
そして、銀時の憎しみを浄化したのは、小太郎なのだと思った。
「あれは、ああ見えて、心根のまっすぐな、芯の強いやさしい男なのだよ...。おまえもきっと、銀時が好きになる」
やさしく諭すように言われて、おれは返答に困った。
「...ねえこたろ、俺のことあいしてる?」
急に話を元に戻す。だが小太郎は少しも迷うことなく答えた。
「ああ、愛しているよ」
「銀時と、どっちのほうがあいしてる?」
「どちらも、俺にとって本当にかけがえのないそれぞれだ。比べることなど、できぬよ」
小太郎はおれの頬をそっと撫でて、ふわりと微笑んだ。
「俺の一番の願いはな、晋助」
深い色をした瞳が、おれを包むように見つめる。
「お前が、まっすぐにお前らしく育ってくれることだ。この世を憎むのでなく、この世を愛する人間に、育ってくれることだ」
そう言う声はすごくやさしくて、あたたかくて、おれのことを心から思ってくれているというのがわかって、おれはちょっと泣きそうになった。
ああ、こたろ、だいすきだ。
「...俺、やっぱり今日、ひとりで寝る」
「...え?」
「小太郎が喜ぶように、早く一人前の男になる」
細い腕から頭を離し、おれは小太郎に背を向けて毛布にくるまった。
でも、小太郎はそんなおれを強がりごと包み、やさしく背を抱いてくれた。
「大丈夫、おまえは、いい子だよ。眠るまでそばにいるから、安心しておやすみ」
ああ、おれはちゃんとあいされてるな、と、心にじんわりとあたたかいものが広がって、小太郎の胸に頬をぎゅうとくっつけた。



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